山梨県立農林高等学校
2020年9月9日カテゴリー:

ブドウ果汁の比重計測と補糖量算出

9月9日(水)です。朝はだいぶ涼しくなってきました。夏も終わりに近づいています。
とはいえ、今日は午後にはだいぶ気温が上がりました。
 
さて、今日は食品科学科2年生の授業風景をお知らせします。
 
専門教科「総合実習」にて、本時のテーマは「ワイン製造におけるブドウ果汁の糖度計測と補糖量算出」です。
 
ワインづくりにはサッカロミセス・セレビシエというアルコール生産能力のある酵母の作用が欠かせません。
ブドウ果汁中の糖を酵母が代謝し、アルコールを生成することによりワインが出来上がります。
酵母が生成できるアルコール量は、原料のブドウの糖度に比例します。
例えば、アルコール度数13度のワインを造りたいのであれば、ブドウ果汁には25.4度の糖度が必要になります。
 
まずは果汁糖度の求め方について。
 
これは浮ひょう計といい、果汁などの比重(摂氏4度の水に対する密度の比率)を測定する分析器具です。
 
このようにメスシリンダー内の果汁に浮ひょう計を浮かべ、液面の目盛りを読みます。
今回サンプルで用いたブドウ果汁の比重は「1.064」でした。果汁には水以外にも糖分などのいくつもの物質が混じっています。よって純粋な水より重いため、比重は1.00を上回ります。
 
この比重を計算式に当てはめることにより、糖度を算出することができます。
比重「1.064」のブドウ果汁は、糖度「14.8度」に達していることが分かりました。
 
しかしこの糖度のままワインを造っても、アルコール度数は約7.5度にしかなりません。
ここで必要となるがアプローチが「補糖」です。
ブドウ果汁に対し、ショ糖や砂糖などを添加して糖度を補う「補糖」という作業によって、目標アルコール度数の達成に必要となる糖度になるよう調整します。
 
このようにexcelを用いて算出するのが現在の主流です。
黄色で塗りつぶしてある「比重」「補糖前の果汁量」「目標アルコール度数」を入力すれば、青で塗りつぶしてある「補糖量」が瞬時に算出されます。
ここで算出された量の糖をブドウ果汁に加えれば、できあがるワインのアルコール度数は大体目標値となります。
 
今回の例のワインのように、一つの食品を作り上げるためだけでも様々な知識と技能を要します。食品科学科では食品業界で活躍できるプロの育成を目標に授業を展開しています。