山梨県立農林高等学校
2020年5月12日カテゴリー:

醸造用ブドウの植樹

5月12日(火)です。今日は農場の様子をお伝えします。

 

農林高校の敷地内東側にはワインの製造に使われる醸造用ブドウ栽培の圃場があり、食品科学科が管理しています。

巨峰やシャインマスカットなど生食用のブドウは、国内で一般的な「棚仕立て」で栽培されているのに対して、醸造用ブドウは主に「垣根仕立て」により栽培されます。海外では一般的な方法であり、収量は少ないですが、凝縮感のあるワイン原料向きの果実が収穫できます。

 

こちらは3年前に植樹された黒ブドウ品種「ビジュノワール」の樹です。
「ビジュノワール」は山梨県果樹試験場が「山梨27号」と「マルベック」を交配させて生み出した新品種です。病気に強く、山梨県内での普及が期待されています。

さらに今年は、広く世界的に栽培されている黒ブドウ品種「メルロー」の苗30本を新たに植樹します。
性質や特性(成長速度や耐病性、果実の大きさ、収量)の異なる台木(根を張る部分)と穂木(地上部)を組み合わせた計3種類の苗を10本ずつ用意しました。この土地にはどの台木と穂木が適しているかを観察するためです。
※ブドウの自根はフィロキセラ(ブドウネアブラムシ)という害虫への耐性が無いため、耐性のある台木を接ぎ木して作られた苗が使用されます。

まずはこの写真のように深さ30cm程の穴を掘ります。5月に入り暑くなってきたので、これだけでも大変な作業です。

緑色の支柱と共に苗の植樹位置を定め、ショベルで土を戻していきます。地中のより深い層に向けて成長できるよう根の方向も工夫しなければなりません。土を戻し終えたら、手と足で地面をしっかりと固めます。

定植した苗の周りはビニールシートで覆います。理由は2つあります。まずは乾燥を防ぎ湿度を保つため。そして雑草が生えてこないようにし、栄養分競合を防ぐためです。

最後に、たっぷり水を与えたら完成です。丸一日がかりの作業でした。
本来は授業の中で植樹を行う予定でしたが、休校中のため職員が行いました。ブドウは苗を植え付けてから果実を収穫するまでに3年掛かります。今年の新入生が3年生になった頃、たくさんのブドウが収穫できることを祈ります。