山梨県立農林高等学校

「ブドウ果汁・ワインの成分分析」(2年食品科学科)

 食品科学科2年「総合実習」の授業では、5月から7月にかけてブドウ果汁やワインの成分分析に取り組んできました。1学期の実験は今回の授業で最後となるため、総復習として一通りの成分分析を生徒たちだけで行う演習形式で取り組みました。様々なタイプの果汁とワインを分析対象としました。

 

まずは果汁とワイン中の「酸度」を測定します。ブドウに含まれる主な酸は酒石酸(しゅせきさん)という物質です。この物質の濃度は、1年次の「食品化学」の授業で取り組んだ「中和滴定」という実験方法で求めることができます。

 

酸性であるワインにアルカリ性の試薬(水酸化ナトリウム)を点滴のように1滴ずつ落として反応させます。ワインが酸性からアルカリ性に変わる瞬間に、フェノールフタレイン指示薬が反応して液色がピンク色に発色します。そこまでに加えた試薬の量が「滴定値」となります。その滴定値を公式に入れて計算すると、ワインの酸度を求めることができます。

 

次にワインのアルコール度数(濃度)の測定です。次のような装置を使った蒸留法によって求めることができます。

 

ワインを蒸留して回収した液体に酒精計を浮かべてそのメモリを読むことで、ワインのアルコール度数が分かります。

酸度やアルコールの測定はワイン製造における基礎中の基礎実験です。成分分析が終わり、秋に行うワインの仕込み実習に向けて準備万端です。